にゃほにゃほ読書ブログ

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ただの読書好き文系が生命科学をかじってみた〜基本編〜

 

同系列の本を3冊読むという宣言を前回の記事で行い、それを実行していたら、1ヶ月近くも時間がかかってしまった。でも、ただ本を漫然と読んでいた今までに比べると、有意義な時間だったと思う。また、前回「3冊本を読んだら知識になるのでは?」と仮説を立てていたが、3冊読んだだけでは、知識と呼べるには程遠い、まだ知らない世界がある、という実感である。

今回は、文系の私が無謀にも、生命科学を学ぼうとした、その記録である。生命科学は、その仕組みが本当に面白く、書いていたら結構なボリュームになってしまったので、分割して書こうと思う。今回は、基本編として、入門的な本を読んで学んだことを書いていく。

 

生命科学を学ぼうとしたきっかけ

私が、今こうして読んで、何かを考えている。それも、生命だからだ、と

考えると不思議な気持ちになった。

自分や他の生命について知りたいと思う、生命体って人間だけだよな…と思った。

当たり前だが、他の生命体は本を読んだりしない。

いつかは終わってしまう命。

今の命が終わったら、この意識がどうなるのかは誰もわからない。

どんな世界に行くのかも。

私がもし、原子の集まりだったとして、それが無くなったら、この意識でさえも、ばらばらにされて、全く別の生命体となるだろう。

この命であるうちに、生命について、知っておきたい。

 

なぜ、こんなことを考えるようになったのか。

新型コロナウイルスの感染者数は、止まることを知らず、このままでは人間が、負けてしまうかもしれないな、と思っている。

このまま治らなかったら、私も、無事ではいられない時が来るかもしれない。

 

「端」にいて、初めて考えることってある。

1日の始まりと終わりには、1日のことを考えて、月初と月末に、その1ヶ月のことを

考える。その年のことを振り返るのは、年末が近づいてきてからだ。

同じように、人類の生命が危機に立たされている。

人類の歴史の「端」も、視野に入れ始めた。

そんな時、生命の全体を知りたい。そう、思ったのである。

 

1冊目.文系の生命科学入門書『池上彰が聞いてわかった生命のしくみ』

1冊目に読んだのはこの本である。

www.amazon.co.jp

池上先生が、同じ東工大の教授に生命科学について質問する形式。基礎的な部分からわかりやすく、対話形式で進んでいるので、1冊目に選んで正解だった。(メモ:普段話上手な池上先生は、聞き上手でもあった。)

学んだこと(1)・・・生命の定義について

生命の定義でよく言われるのが「境界・自己増殖・代謝であるそうだ。

膜で覆われているため周りとの境界があり、自分で増えていく。そして、外部からエネルギーを取り込んで様々な化学反応を起こす、代謝。人間でいうとご飯を食べて消化することなどが代謝にあたる。

猫型ロボットはもちろん生命ではないが、なぜ生命ではないのかというと、自己増殖しないからだ、と理解した。

では、今世間を騒がせている、ウイルスは生命なのか?

本書では、代謝の部分で「他の細胞を使っても良い」とするなら、ウイルスを生命と見なしてもいいのかもしれない、とある。

ウイルスは自分の力では生きていけず、他の細胞に入り込み、養分をもらって自己増殖するのだそうだ。彼らはヒモなのか・・・?

お金がなくて恋人の家に転がり込み、ご飯だけ作ってもらい、そのエネルギーで浮気しまくっている、どうしようもない奴の姿が思い浮かんだ。しかも、浮気の果てに自分のコピーをどんどん生み出している。ご飯を作ってお金も稼いでるのに、報われない、どんどん養分を吸い取られてしまう恋人がかわいそうである。

そのままでも害があるばかりか、擬人化したら余計ダメな奴になった。ちなみに、人間に利益のあるウイルス、っていないのだろうか?脂肪とか、老廃物を養分としてくれるようなウイルスは。宿主が喜んで感染させて、共生させてくれそうである。ウイルスさん達は、一度検討してみて欲しい。

学んだこと(2)・・・遺伝子とDNAについて

遺伝子とDNAの違いをここで知った。

遺伝子は、もともとあるのではないかと言われていた概念。「メンデルの法則」でよく知られている。改めて研究される前から、遺伝というのは、人々にはわかっていたことなのだろう。でも、それが細胞の中のどこにあるのかわからなかった。

その遺伝子を担う物質が「DNA:デオキシリボ核酸」であると後になって判明されたそう。

DNAは、リン酸、糖、と4種類の塩基でできている。この4種類の塩基というのが、DNAが「二重らせん」を作る鍵になる。

4種類の塩基は、A:アデミンT:チミンC:シトニンG:グアニン。アデミンはチミンと仲が良く、ペアになる。シトニンはグアニンと仲良く、ペアになる。そのペアが繋がって行くと、ねじれて、梯子がねじれた状態になって行くそうだ。

私には、空間把握能力がないので、4つの塩基がペアになって二重らせんをなして行く様子を実感することができない。工作とかしてみたりした方がいいだろうか?

また、DNAが複製される際は、二重らせんが2本に別れて、2本とも鋳型になることができるので、この形は結構有利なのだそうだ。

生命は、よく見つけたな、こんな物質・・・。池上さんも感心していた。

学んだこと(3)・・・ES細胞とiPS細胞について

名前だけ聞いて満足していた、「ES細胞」と「iPS細胞」、その違いを学んだ。

ES細胞は、別名「胚性幹細胞」。受精卵がちょっとだけ育って、胚になった状態の細胞を取り出したものである。受精卵は、何にでもなれる万能細胞。ES細胞は、胎盤にはなれないので万能ではないが、それ以外の細胞に変化できる。

会社員に例えていうなら、「新卒の研修が終えた配属前の社員をヘッドハンティングした」だろうか。引き抜いた側は、ビジネスマナーを一から覚えこませなくて良いのでラッキーだが、元の会社にしてみれば、せっかくお金と手間をかけて育てた社員が会社の役に立つ前に引き抜かれたら大迷惑だろう。

iPS細胞は、既に皮膚や白血球に変化した細胞を、変化前の細胞に戻したものである。ES細胞と同じく、胎盤以外ならなんでもなれる。胎盤は受精卵しかなれないのか?難しいな…新卒じゃないと入れない部署みたいだ)

また会社員に例えてしまうが、「既に働いている社員を、一旦人事部付けにして、異動させる」みたいなものだろうか。これなら、人員不足にも対応できる。

細胞の話に戻ると、iPS細胞は、再生医療の分野や、美容への活用が期待されているようだ。お腹の脂肪を、胸に…なんてこともできるのかな?妄想してる…

学んだこと(4)・・・タンパク質について

驚いたのが「タンパク質はすごい!」ということ。「はたらく細胞」というアニメを前見ていたが、まさに「はたらく」を担っているのがタンパク質だ。血中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」も、食べたものを消化する「消化酵素」、そして心臓を動かす筋肉も、タンパク質なのだ。生きていること全てを担っているのが、タンパク質。本書には、歩く細胞の様子とか出てきている。

タンパク質を摂らなければ!と思える。

ちなみに、タンパク質を摂取すると、そのままタンパク質になるのではなく、一旦アミノ酸まで分解されて、そのアミノ酸を組み合わせて、必要な働きをするタンパク質となる。

例えるなら、食材セットを買ってきて、一旦バラバラにして、作りたい料理の材料を組み合わせる、みたいな感じかな?

学んだこと(5)・・・セントラルドグマについて

DNAと、タンパク質には、どのような繋がりがあるのか?それは、「セントラルドグマ」と呼ばれる、生命の統一原理で説明できる。

セントラルドグマとは、DNAからRNAという分子に情報が「転写」されて、そしてRNAからタンパク質が作られる(翻訳)、一連の流れのことである。

RNAは、DNAと似てるけど、DNAよりも簡単な作りをしている。DNAの25000種類の情報の中から、必要な一部を転写している。

そして、その転写された塩基の情報が、タンパク質の素であるアミノ酸に翻訳される。

DNAという大資料室の中から、必要な資料だけを取り出し、タンパク質になれるよう翻訳まで行う、RNA、有能すぎるぞ!

 

セントラルドグマかぁ…」と呟いたら、夫に「エヴァのこと?」と聞かれた。わたしは、エヴァンゲリオンをちゃんと見てないのだが、地下施設のことらしい。エヴァには他にも生命科学由来の言葉が出てくるようだ。

学んだこと(6)・・・ゲノム編集「CRISPERーCas9」について

CRISPERーCas9について、学んだ。RNAはDNAと同じ塩基を持っている。同じ塩基ということは、(2)で学んだように、ペアになれるということだ。RNAがペア担っているところを狙って、Cas9という酵素でDNAとRNAを切断。細胞が切断されたところを修復するときに間違えてしまう、のを利用して、ゲノム編集を行う、という仕組みだそうである。

うーん、よくわからない。第一、「間違える」って。間違えることで、望んだ方向に行けばいいと思うけど、本当にうまく行くのだろうか?詳しく説明すると、読者の理解が追いつかないから、あえて「間違える」、と書いたのだろうか?

仕組みは、もっと理解が必要だと思うが、うまく「間違える」ことで、大きく科学は進歩するということはなんとなくわかる。 本書では、遺伝子にまつわる病気の治療や、品種改良によって食糧難を救う、ということが触れられていた。

 

ただ、遺伝子編集を行うことで、オフターゲット効果と言って、狙っていないところに作用してしまい、害を及ぼしてしまう問題点もあるようだ。まだ遺伝子の全貌がわかっているわけではないので、副作用の不明な治療、になる可能性がある。患者にとっては、今すぐにでもこの苦しみから逃れられるなら治療を受けたいという気持ちだろうが、どんな副作用があるか分からないとなると…、迷うところである。

 

基本編感想

自分の体が、細胞が、タンパク質が、まるで会社のように組織作られて上手な仕組みで動いている。まるで意思を持つように。

それはとても不思議なことだ。

でも、本当は逆なのかもしれない。

細胞の動きが先にあって、人間の社会組織が、どうしても細胞の組織に似てきてしまうようにできている。人間は、意思を持っているようでいて、実は何か別の何かに突き動かされていたりして。

その、別の何かっていうのは、何なのかっていうと、「全体として、生き残って、進化することを目指す」 ことなのかなと思ってる。

細胞には、「アポトーシス」という自爆作用が備わっており、例えばDNAに異常があった時に、その細胞だけ死んで個体全体が生き残るようにする、という仕組みがあるそうだ。

全体が生き残るために、一部を犠牲にする。人間の世界でもあることである。

これが、悪い方向に行ってしまうと、全体主義みたいな、戦争を引き起こした原因にもなるが、それは「全体」の範囲が狭すぎるからである。

もっと国とか、会社とか、宗教を超えて、人類全体に視野を広げてみたらどうだろう。

その上で、前向きに考えてみる。

「人類全体が、生き続けられれば、いいじゃないか」

最初にも書いたが、人類はコロナウイルスの広がりで危機に瀕している。

いつ、自分がかかってもおかしくないぐらいに、私の住んでいるところでも、広がっている。今よりもっと悪い状況、というのも、あり得なくはない。

でも、生命の話を聞いて思うのだ。

生き残るのは、私じゃなくてもいい。

コロナがどんなに最悪の状況になっても、人類の中で、誰かが1人か、2人でも生き残っていれば、また人類はやり直せるのだ。

1人か2人じゃ心細いから、生き残るのはできるだけ多いほうがいい。

そして、多様性があったほうがいい。

幸せでいたほうがいい。

そう考えると、他人を生かして、幸せに生き続けるために、動きたい、と思うのだ。

種として生き残るために、他人を思いやりたいと思うのも、人間の欲求の一つかと思う。

 

次回予告

ただの読書好き文系が生命科学をかじってみた〜ビジネス応用編〜

基本編を学んでいて、気になったのが、生命科学のビジネスはどれくらい進んでいるのか、ということである。その有用性と、倫理観の狭間に立たされている気がする。その部分を、科学者はどう考えてるのか?探ってみたい。